同じ土俵
子どものいる美術作家で、まだ作品を売るだけでは収入にならない人なら、美術以外の仕事を持ち、子育てもし、家事もして、その上で制作する人はたくさんいるはずだ。
そういう友人に、 深い意味はなくてポロっと言われたことがあった。
「みんな同じ土俵でやってるからねえ。」
細かいセリフは忘れてしまったが、仕事もして子育てもして、制作もしたいけど時間や体力がなくて、それでもみんな作っている、という文脈だった。
すごく気になったので覚えている。
私はその頃、週一回のパートタイムでも、はたまた、たとえ月一回のパートタイムでも継続するのが難しい体調で、家事を少しと絵を描いてすごしていた。
私は制作はしていたかもしれないが、同じ土俵に立っていなかった。多くの人にとって、お金を稼ぐために働くのは当たり前で、その土俵にすら立ってなかった。経済的環境が許せば働かなくてもいいのだが、働こうと思えば働ける体力はなかった。
妊娠中に減薬して体調が良くなって、元気になった現在、やっと同じ土俵に立てたという実感がある。いま子どもが小さすぎる(2ヶ月)ので外では働いてないが(在宅ではいろいろやっている)、今なら働けると思う。
元気じゃない頃、体調の悪さをいろんな人に訴えていて、だれも理解してくれないと思っていたが、
元気になってみると、ああ、あれは普通は理解できないな、と良くわかった。
みんながみんな、同じ土俵にいるわけではない。そこに登れない人はいっぱいいる。でもそんなこと、忙しく生活してると忘れちゃうんだろうと思う。
何が言いたいのかわからなくなってきた。
やろうと思えば自分の力でいろいろやれる現状がすごくうれしい。