事故の起き方
まだ2歳かそこらの子供が、
階段を降りようとしていた。
いつもここで「抱っこ」と言って
抱っこされるので、
子供はそのつもりで、母である私をみた。
私はその時とても疲れていたので、
(ん?自分で降りてよ!)
と思って疲れた顔でチラリと子供をみた。
子供はそれを察知した。
子供が私をみて私が子供をチラリと見て、
その間多分0.1秒くらい。
察知した子供は自分で降りようとした。
でも身体は抱っこされる体勢でいた。
気持ちは自分で降りようと思った。
身体は抱っこ、気持ちはなんかママ機嫌悪いし自分で降りなきゃ。
その後、階段で転んだ。
ただ転んだだけで、怪我もなく何事もなかったのだが、
ああ、こうやって事故は起きるのかと思った。
身体と気持ちの不一致。
それを至らしめた周りの環境。
本人の気持ちと周りの人たちの思惑の影響のされあい。
その周りの人たちもまた、様々な環境でその状態になり、そこに存在している。
この件は1対1だし単純な仕組みだったけど、
複雑に状況が絡み合い、世の中の事故は起きているのかもな、と思い至った。
被害者と加害者に単純に分けられないだろう。
(もちろん分ける必要はある。裁判のためとか、刑を受けるためとか、色々な事情で。
罪がなくなったことになるわけではないし、そういうことをここで言っているのではない)
今の私の行動と気持ちが回り回って、世界にどう影響するだろう、と思った。