日記

統合失調症とちょっとアートの備忘録。

介入されること

以前の主治医と相性が悪かった。



結婚したばかりの頃にかかりはじめたから、
環境の変化で体調が安定していない様子を初めに見たから、
体調が悪めだと警戒されていたのかもしれない。



また、一般的にみて、すごく優しい親切なタイプの医者だった。
今までかかった医者のなかで、一番話を聞いてくれ、態度も柔らかで、
結構具体的なアドバイスも多かった。
精神科にあまりかかったことのない人から見たら、
なんて良い医者だ!って思うかもしれない。



でも私はだんだん負担になってきていた。
夫が、コロコロ医者を変えるのは良くない、というので、
我慢して結局3年かかったが、最後のほうはもう負担でしかたがなく、通院日が憂鬱だった。



統合失調症になると、月1回程度の通院を死ぬまで続けなければならないことになる。
薬をまとめてもらえるのは一か月分くらいが限度だから、しかたがない。
精神科の病気だから、何かの数値を見るわけでなく、
生活の状況の確認や世間話的なものをすることになる。
これってよく考えたら結構不自然なことだ。



定期的に日常の相談を出来る人を得るということでもあり、
嫌でも介入されるということでもある。



医者にも個性や考え方の違いがあって、
病状が悪くなっていなければ、日常のことを聞きはするけど、介入しないという人もいる。
日常の事を聞くことで病状の把握だけする、という感じだろうか。
こういうことで悩んでるんです、困っているんです、と訴えても、
それが妄想とか危険な行為とかでなければ、
「うーん、そういうこともあるよねー」だけでバッサリ切って、診察が終わっちゃう、というような。
これは考えてみたら当たり前のことで、
医者はよろず相談を受けているわけではないので、日常の相談をいちいち真面目に答えていたら身がもたないのだ。



私はどちらかというと、バッサリ切ってくれる医者のほうが相性がいいみたいだ。
診察で悩んでることを言っている間は、本気で困っているかもしれないけど、
生きていたら不安でどうしようもない出来事が起こることもあるし、
人間関係のいざこざもある。
そういうことは自分で試行錯誤して解決しなければならない。
そういうことに、バッサリ切られると、気づいて、自分で自分の人生を歩み始める。
ましてや、20歳そこそこの、社会経験も浅い頃から、医者にかかっているのだから、
少し、医者というなんか頼りにできそうな存在に甘えてきた面もあるかもしれない。
でも、それはイレギュラーな状態であって、
大抵の人は、医者になんか相談せず、もがいて生きてゆくのだ。



相性が悪かった医者は、割と介入してくるタイプだった。
相性が悪かったので、悪口のようになってしまうが、
日常の悩み事ってそう簡単にアドバイスできるものでもない。
数分の診察で状況をすべて把握するなんて無理だし、
絵画で言えば私のほうが専門家だ。
(絵の内容を相談していたわけではなくて、絵の専門家がどれくらいの労力をかけて絵に取り組むかなんてことは、数分ではわかってもらえない)
(※追記 この文章に違和感があって、考えてみたけど、この主治医は絵の事をわかろうとしてなかったな。自分の知らない分野過ぎて怖気づいてた)
アドバイスするならそれなりのヒアリングが必要だと思うが、
数分の診療でそれをやろうとしていて、やらなければならないとさえ思ってるみたいだった。
悪い言い方になるが、介入するわりに雑なのだ。
それを疑問にも思っていないようだった。医者として真面目過ぎるのだ。
その真面目さ(医者はこうであるべき、みたいな)を支えている緊張感が伝わってきて、こちらが疲れることもあった。
いちばん堪えたのは、時々、夫と一緒に受診したのだが、
いつも夫の味方だったことだ。
なんだか私は病気をもっている未熟な人で、管理が必要な人みたいに思われているように感じられた。



医者にかかることで、
いざという時のセーフティネットになっている面はありがたい。
しかし、病気の事なんて忘れていたいし、月に一回の通院も面倒だ。
その通院で、アドバイスを受けるという形で私の未熟さを突き付けられる。
私は最初は医者の言うことを真に受けていたから、
医者の発言に縛られ、違和感や不安感が増長し、さらに気持ちが安定しなくなるという状態になっていたと思う。



もう、介入されないように何も言わないようにしよう、と思い、
最後のほうは、「変わりないです、元気です。」
と言っていた。
病院に行って元気です!と言うのはなんだか痛快で面白かった。
でもその頃は不妊治療でストレスMaxだった。
不妊治療に介入されるくらいだったらストレスを抱えてでも黙っていたほうがよかった。
「不安になることはないですか?落ち込むことはないですか?」
よくそんな質問をされた。誘導尋問じゃないか!
毎回毎回、すごくめんどくさかった。
何も言わないようになってから、診断書や紹介状に「安定しています」の文字が見えたのは苦笑だった。



もう限界になって、夫に言って、病院を変えた。
この医者には申し訳ないけど、
今現在も憎しみしかない。
本当に疲れた。